「ひまわり歯科」の障がい者歯科
身体機能、知能、あるいは精神機能に障がいがあるために、通常の歯科保健や治療に適応するのが困難な人を対象とした科目です。
日本の障がい者は、身体障がい351万人、知的障がい45万人、精神障がい258万人の合計655万人にものぼり、これは全人口の5%に相当します(2002年データ)
多くの場合、障がいを持つ方々が歯科を受診する際は、大学病院や総合病院の中の歯科や、公的な歯科診療所などの専門施設で受診されておられます。
ひまわり歯科では、これらの専門施設と連携を図りながら、地域の皆さまの身近な場所で、一般歯科を受診されるご家族の皆さまとご一緒に受診頂けるよう、広島大学病院障がい者歯科で研修を積んだ歯科医師、並びに必要設備を整えております。
歯科治療が必要だが、専門施設は遠くて継続して通えないといった、受診困難な患者様に対して、少しでもお役に立てればと考えております。
また同時に、障がいを持つ方々にとって歯科がもっと身近になるように行動を起こしていくことが、私たちの使命であるとも感じております。
当院は日本障害者歯科学会臨床研修施設に認定されており、障がい者歯科のできる歯科医師や歯科衛生士を育成する機関として研修を行い、患者様により安心して満足していただけるよう活動しております。
副院長・障がい者歯科部門長
樋山めぐみ当院の障がい者歯科治療の特徴
行動変容法
歯科治療にスムーズに入って行くために、歯ブラシなどの身近なものからトレーニングを行う方法です。

笑気吸入鎮静法
笑気ガスを吸うことでリラックスした状態で治療を受けていただく方法です。脳性麻痺の方の筋の緊張を和らげたり、強い嘔吐反射を和らげたりする効果もあり、より快適に治療を受けていただくことができます。

専用待合室
障がい者歯科専用の待合室を完備しております。一般の待合室とは別室ですので、周囲に気兼ねなく時間を過ごせます。また、第2駐車場からすぐに入れるスロープ付き入り口があり、じっとするのが苦手な方や車いすの方の介助者様から好評です。

半個室と完全個室
安心した空間で治療を受けていただけるよう、完全個室を備えております。ただし、安全確保の観点から、敢えて半個室の診療台を使用する場合もございます。その場合でも出来るだけ他の診療台からの音や、視覚情報を少なくし、落ち着いた空間で治療を受けていただけるよう心掛けております。また、付き添いの方も周りの視線が気にならないように最大限の配慮をお約束いたします。

絵カード
視覚からの情報伝達が優位と言われる自閉症の方などに、言葉かけに加えて絵カードを使った説明をすることで、スムーズに治療ができることがあります。

TSD法
使う道具をTell(言葉で説明)、Show(実際に見せる)、Do(動かす)ことで、歯科の道具に対する不安感を減らす方法です。

全身麻酔を用いた集中歯科治療を行っています
通常の歯科治療が難しい場合は、全身麻酔下での歯科治療を選択することもできます。麻酔専門医の協力の下、安全の治療が行える環境を整えております。

こんな方におすすめいたします。
- 歯科治療が必要だが、治療への協力度の低い小児・障がい者
- 歯科治療に対する恐怖心が強い方
- 歯科治療に度々通う時間的余裕がなく一度に多くの治療をしたい方
- 異常嘔吐反射で歯科治療が辛い方
全身麻酔での治療の流れ
- 問診
- 口腔内の診査
- 済生会広島病院での術前検査(胸部レントゲンや血液検査など)
- 検査結果をもとに、日帰り全身麻酔が可能か麻酔医が総合的に判断する
- 術前の注意事項、リスクのご説明と同意
- 全身麻酔下での歯科治療実施
- 術後の状態を確認して帰宅していただく
- 帰宅後に電話での状態確認
全身麻酔を受けた患者様の声
(歯科恐怖症の成人)
今まで治療が必要とは思っていても、怖いのと仕事も忙しいのでなかなか歯医者に通えず不安に思っていました。全身麻酔を使うと、ほんとうに楽に多くの治療が進むのですごいです!通常だと半年以上通わないといけないところが、数回の治療で完了しました。歯が悪くなって本当に困って歯が大事だと実感したので、全身麻酔の日だけは(勤務先の)社長にお願いして休みをもらって歯医者に来ました。本当に素晴らしいと思って同僚にも紹介しています。
(自閉スペクトラム症の方の保護者)
ずっと歯を痛がっていましたが、今まで歯医者さんでは暴れてしまって、抑えて治療しましたがほとんど何もできませんでした。ひまわり歯科では全身麻酔を使って、本人も嫌な思いをせずに一度で虫歯を治療していただき、ありがとうございました。これからは定期検診で通います。
(異常嘔吐反射の方)
嘔吐反射が出るので家での歯磨きも困難で虫歯がどんどん進んでしまいました。全身麻酔での治療で楽に治療が進んでいくのでありがたいです。
日本障害者歯科学会 臨床経験施設
全国には68,000軒以上の歯科診療所がありますが、その中で日本障害者歯科学会臨床経験施設に認定されているのは231施設です(平成31年1月現在)。
認定を受けるための基準
- 一定数以上の障がい者患者が来院している
- 日本障害者歯科学会への研究発表等の積極的な参加
- 障害者歯科学会指導医の指導が受けられる
- 歯科衛生士が関わり診療をしている
- 障がい者歯科などについての定期的な研修会、図書の整備がある
患者様へのメリット
障がい者歯科をするための設備があり、研修を受けたスタッフが対応いたします。
歯科医師・歯科衛生士へのメリット
臨床経験施設での経験は、日本障害者歯科学会認定医・歯科衛生士の申請時に有効です。学会に入会、参加し、当院で一定の経験を積むと、認定医・衛生士試験の受験資格が得られます。
現在までの実績
- 自閉スペクトラム症の小児
- 異常嘔吐反射のある方
- 歯科恐怖症の方
- 長時間の抜歯が予想されたので治療の苦痛回避のため
- 多数歯の治療が必要で集中治療を希望されたため
安全のために
- 麻酔経験が豊富な医科麻酔医による全身麻酔の実施
- 歯科麻酔学会認定医と経験豊富な看護師による術前から術後までの管理体制
- 済生会広島病院との連携による術前の検査、入院必要時のサポート
治療費用について
健康保険で行います。3割負担の方で、全身麻酔の自己負担金が15,000〜20,000円前後に加えて、行った歯科治療の自己負担金が発生します。